冬になると心配なのが、雪による道路のトラブル。
特に高速道路では、突然の大雪で立ち往生するケースも少なくありません。
そんな中で注目されているのが「タイヤチェーン規制」です。
この記事では、規制の基本からチェーンが必要な理由、具体的な規制区間まで、ドライバーが知っておきたいポイントをわかりやすくまとめました。
冬のドライブを安心・安全に楽しむために、ぜひチェックしてみてください。
タイヤチェーン規制とは?基本概要

タイヤチェーン規制とは、国土交通省が定める冬季の高速道路における安全対策の一つで、降雪や路面凍結時にすべての車両に対してタイヤチェーンの装着または携行を義務付ける制度です。
規制の背景
近年、異常気象による突発的な大雪により、高速道路で大規模な立ち往生が頻発しています。
2017年の関越自動車道、2018年の北陸自動車道での事例を受け、国土交通省は2018年12月からタイヤチェーン規制を本格運用しています。
重要なポイント
ドライバーが必ず知っておくべき規制のポイントをまとめました。
- スタッドレスタイヤ装着車でもチェーン携行が必要
- 規制区間は全国で13区間を指定(2024年現在)
- 違反した場合は道路交通法により処罰の対象
この規制により、冬季の高速道路がより安全になることが期待されています。
スタッドレスタイヤでもチェーン携行が必要な理由

多くのドライバーが誤解しているのが「スタッドレスタイヤを履いていればチェーンは不要」という考えです。
しかし、タイヤチェーン規制時は、スタッドレスタイヤ装着車でもチェーンの装着が義務となります。
なぜスタッドレスでも不十分なのか?
スタッドレスタイヤにも限界があるため、極端な気象条件では追加の安全対策が必要となります。
- 想定を超える積雪:スタッドレスタイヤの性能限界を超える深雪
- アイスバーン状態:凍結路面ではチェーンの方が効果的
- 登坂能力:急な上り坂でのグリップ力不足
これらの理由により、万全の安全対策としてチェーンの装着が義務付けられています。
規制対象となるタイヤ
規制対象(チェーン装着必須)
- 夏タイヤ(ノーマルタイヤ)
- オールシーズンタイヤ
- スタッドレスタイヤ(条件により)
例外となるタイヤ
- スタッドタイヤ(使用可能地域のみ)
ただし、スタッドタイヤは使用が認められている地域が限定されており、本州では基本的に使用できません。
高速道路別チェーン規制区間一覧

国土交通省が指定するチェーン規制区間は、全国で13箇所です(2024年現在)。
このうち高速道路が7区間、直轄国道が6区間となっています。
高速道路のチェーン規制区間
高速道路での規制区間は、主要な山間部の峠道や過去に立ち往生が発生した箇所を中心に指定されています。
これらの区間では、急勾配や悪天候時の危険性が特に高いため、厳格な規制が適用されます。
上信越自動車道
- 信濃町IC~新井PA(長野県~新潟県)
- 規制延長:約24.5km
中央自動車道
- 須玉IC~長坂IC(山梨県):約8.7km
- 飯田山本IC~園原IC(長野県):約9.6km
北陸自動車道
- 丸岡IC~加賀IC(石川県~福井県):約17.8km
- 木之本IC~今庄IC(滋賀県~福井県):約44.7km
米子自動車道
- 湯原IC~江府IC(岡山県~鳥取県)
- 規制延長:約33.3km
浜田自動車道
- 大朝IC~旭IC(広島県~島根県)
- 規制延長:約26.6km
直轄国道のチェーン規制区間
国道112号(山形県)
- 月山道路:西川町月山沢~鶴岡市田麦俣(約15.2km)
国道138号(山梨県・静岡県)
- 山中湖・須走:山梨県山中湖村平野~静岡県小山町須走字御登口(約8.2km)
国道7号(新潟県)
- 大須戸~上大鳥:村上市大須戸~村上市上大鳥(約15.3km)
国道8号(福井県)
- 石川県境~坂井市:あわら市熊坂~あわら市笹岡(約3.2km)
国道54号(広島県・島根県)
- 赤名峠:広島県三次市布野町横谷~島根県飯南町上赤名(約2.5km)
国道56号(愛媛県)
- 鳥坂峠:西予市宇和町~大洲市北只(約7.0km)
規制時の対応方法と注意点

チェーン規制が発動された場合の具体的な対応方法と、安全に走行するための注意点について詳しく解説します。
事前の準備と正しい知識があれば、慌てることなく対応できます。
規制発動の判断基準
タイヤチェーン規制は以下の気象条件で発動されます。
- 降雪量:時間降雪量2cm以上
- 積雪深:新雪で5cm以上
- 路面状況:凍結やアイスバーン状態
規制時の対応手順
- 事前確認
- 日本道路交通情報センター(JARTIC)で最新情報を確認
- 高速道路会社の公式サイトをチェック
- 国土交通省の道路情報を参照
- チェーン装着
- 指定されたチェーン装着場所で作業
- 駆動輪(FF車は前輪、FR車は後輪、4WDは指定輪)に装着
- 走行時の注意
- 速度は時速30km以下を維持
- 車間距離を十分に確保
- 急ブレーキ・急ハンドルを避ける
規制区間手前では検問が実施され、チェーン未装着車は通行を禁止されます。
チェーン装着場所は限られているため、余裕を持った行動が重要です。
おすすめのタイヤチェーン

タイヤチェーンには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
用途や予算に応じて最適なものを選びましょう。
金属チェーン
- グリップ力が高い
- 価格が比較的安い
- 装着に慣れが必要

非金属チェーン
- 乗り心地が良い
- 装着が比較的簡単
- 価格は高め

布製チェーン
- 軽量で装着が簡単
- 緊急用として最適
- 耐久性は劣る

購入前には必ずタイヤサイズを確認し、装着方法を事前に練習しておくことをおすすめします。
寒い環境での作業は思っている以上に困難になります。
またスタッドレスに装着する場合は、スタッドレスタイヤのサイズを確認し、適合するタイヤチェーンを選んでください。

よくある質問

チェーン規制について、ドライバーからよく寄せられる質問と回答をまとめました。
Q1. スタッドレスタイヤでもチェーンは必要ですか?
A. はい、タイヤチェーン規制区間ではスタッドレスタイヤ装着車でもチェーンの携行と装着が義務付けられています。
Q2. チェーンを持っていない場合はどうなりますか?
A. 規制区間への進入を禁止されます。
また、道路交通法違反として処罰の対象となる可能性があります。
Q3. オールシーズンタイヤでも規制対象ですか?
A. はい、オールシーズンタイヤでもチェーン装着義務の対象となります。
Q4. 4WD車でも規制対象ですか?
A. はい、駆動方式に関係なく、すべての車両が対象となります。
Q5. チェーン装着場所はどこで確認できますか?
A. 各高速道路会社の公式サイトや、サービスエリア・パーキングエリアの案内板で確認できます。また、国土交通省の公式サイトでも詳細情報を提供しています。
Q6. 最新の規制情報はどこで確認できますか?
A. 日本道路交通情報センター(JARTIC)、ドライブトラフィック、アイハイウェイなどで最新の規制情報を確認できます。
まとめ

タイヤチェーン規制は、冬季の高速道路における安全確保のための重要な制度です。
スタッドレスタイヤを装着していても、規制区間ではチェーンの携行と装着が義務となることを理解し、適切な準備をして安全運転を心がけましょう。
重要なポイントの再確認
- スタッドレスタイヤでもチェーン装着は必須
- 規制区間は全国13区間
- 事前の情報収集と準備が重要
- 規制時は時速30km以下で走行(金属チェーン)
冬季の高速道路利用前は、必ず最新の規制情報を確認し、適切な装備を携行して出発しましょう。
公式情報・関連リンク
高速道路会社
参考資料
- 国土交通省「冬季の高速道路におけるタイヤチェーンの装着について」
- 各高速道路会社公式サイト
- 日本道路交通情報センター(JARTIC)
